YouTubeでサラウンド

公開日(姉妹サイトからの転載日):2019/04/30 最終更新日:2021/07/02
YouTubeでサラウンドの音声を配信する方法

ドルビーのPro Logic IIを利用すれば、YouTubeでサラウンドの音声を配信することができます。ここではその方法を紹介します。

ドルビーのウエブサイトのPro Logic IIの紹介ページ
https://www.dolby.com/jp/ja/technologies/dolby-pro-logic-ii.html

Pro Logic IIは、ステレオ音声をサラウンド音声に拡張する技術ですが、5.1ch等で制作された音声をPro Logic IIエンコーダーで2chにエンコードしたものを、またサラウンド音声にデコードすることもできます。

元々ステレオで制作された音声をPro Logic IIで音場を広げた場合の結果は音声制作者の意図とは無関係ですが、音声制作者がサラウンド音声をあとでデコードされて再生される前提で制作し、Pro Logic IIエンコーダーで2chにエンコードし、視聴する側がPro Logic II搭載の家庭用5.1chサラウンドシステムなどにつないで音声をデコードして再生すれば、音声制作者の意図するサラウンド音声が再生できます。

ただし、チャンネル間のセパレーションが悪くなるため、オリジナルに近い再現をさせるためには、オリジナルのMIX時にエンコード→デコードをすることを想定したMIXをする必要があるようです。

サラウンド音声による動画の例です。

エンコード、デコードのためのソフト

SurCode for Dolby ProLogic IIというソフトでエンコード、デコードできます。
Minnetonka Audioのページ
https://www.telosalliance.com/MinnetonkaAudio/SurCode-for-Dolby-Pro-Logic-II
https://telosalliance.com/tv-post-production/encoding-decoding-software-plug-ins/minnetonka-surcode-for-dolby-pro-logic-ii

再生方法


パソコンとの接続例
以下のうち、私は最初期のMac Proでのみサラウンド再生を確認しています。全ての機種で同様かは未確認で、 Windowsも未確認です。ご自身のパソコンの仕様に基づいて接続してください。

・最初期のMac Proには光デジタルオーディオ出力端子があります。

Mac Pro optical audio out

iMacやMacBookではヘッドフォン端子(ミニジャック)が光デジタルオーディオ出力を兼ねていましたが、2016年以降のノートブックタイプのMacはデジタル音声出力が廃止されたようです。

デジタルオーディオに対応しているMacについてはappleウエブサイトを参考にしてください。

Mac コンピュータでサンプルレートの高いデジタルオーディオを再生する
https://support.apple.com/ja-jp/HT202730

・上記と、ドルビーPro Logic IIデコーダーを搭載した5.1chサラウンドシステム(スピーカーは6本)のAVアンプの光デジタルオーディオ入力端子を光ケーブルで繋ぎます。つまり、DVDプレーヤーの代わりにMacをつなぐだけです。

・Macのシステム環境設定/ハードウエア/サウンド/出力は「デジタル出力」を選びます。

・AVアンプのサラウンドモードはPro Logic IIにします。

いくつかの機種しか確認していませんが、多くの5.1chサラウンドシステムがドルビーPro Logic IIデコーダーを搭載しているのではないかと思います。製品パンフレットやWEBサイトの製品概要紹介の部分にはわざわざ表記されていない場合もあります。

以上でYouTube動画を再生するとサラウンドでの再生ができます。リアスピーカーに定位させた音はリアスピーカーから聞こえます。

その他

2017年6月現在、YouTubeヘルプには、「アップロードする動画の推奨エンコード設定」として、

音声コーデック:AAC-LC
・チャンネル:ステレオまたはステレオ + 5.1
・サンプルレート: 96 khz または 48 khz

との記述がありますが、5.1ch音声を持つ動画ファイルをYouTubeにアップロードしてそのまま5.1chで再生できるか不明(未確認)です。

アンビソニックスによる空間音声

その後YouTubeは360度映像・VR映像に対応し、サラウンドとは意味合いが異なりますが、アンビソニックスによる空間音声を扱えるようになりました。サラウンドのマルチチャンネル音声もアンビソニックス音声にエンコードすることで、YouTubeで扱えます。この手順は上記と異なります。

追記(2021.7.2) YouTube TV

当投稿はYouTubeに動画をアップロードする側の視点でサラウンドについて書いているため直接は関係しないのですが、2021年6月28日に、YouTube TVが5.1chドルビーサラウンドサウンドのサポートの開始を発表したとのことです。

YouTube TVは、2017年に発表されアメリカ国内向けに提供されている「多数のケーブルTVのチャンネルをYouTube(インターネット)で見ることができる有料ライブTVストリーミングサービス」です。

tv.youtube.com

5.1chドルビーサラウンドサウンドは、最初にスマートTV向けに、次に他のデバイス向けに提供されるとのことです。

出典
https://variety.com/2021/digital/news/youtube-tv-5-1-dolby-audio-4k-1235005938/